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潜行中...
先日の鳥の公演で若い子に「4分33秒」について説明をしたが、今朝のムジカピッコリーノでも、ジョンケージによるこの「演奏しない音楽」は、「聴衆が自らの音や周囲の音に耳を傾けるもの」というまことしやかな解釈が流布されている。だが、即興音楽を長年追求してきた私からみれば、これは偶像崇拝の域を出ないと見ている。私はここにケージ氏の悪魔を見る。
4分33秒が初めて初演されたことを現代に置き換えて考えてみればわかりやすい。
昨日引退会見をしたが、その宮崎氏が新作を出すとする。トトロ好きな人たちがこぞって新作を見に行く。さあ映画が始まるぞと思って見ているとスクリーンには白い画面がずっと続く。なんだこれは?と思いつつおとなしかった観客も「これはおかしいぞ」とざわざわし出す。そして5分過ぎた頃に「end」と出て会場が明るくなる。この過程において、個人が自分自身それぞれの脳内映像を浮かべることが目的だ、などということはたわごとであることがわかるだろう。意識は対象に向いていて、自己や周囲に注意が向くわけがない。
しかしこの「事件」において、人々のとる行動は予想の範囲内である。しばらく黙っている、不審を同伴者とヒソヒソ話す、会場に問い合わせに席を立つ、終了後ざわざわし理由を求めて話したり怒ったり。そういった一連の発声と流れこそがケージ氏の意図したところだと思われる。変質者が裸を見せ「キャー」と言わせるくだりと同じで、状況の設定次第で、思ったとおりの行動を相手にとらせることは充分可能だ※1。
これだけだと憶測にすぎないが、この後ケージ氏は「empty words」というポーランド?かどこかでの公演で、楽器演奏せず、ただ詞を延々2時間以上におよび朗読しあげくに観客を激怒に導く。一見公演はメチャメチャだが、人々を「音楽的」にコントロールすることを試み、新しい「演奏」を完成させていることが判るので、もう疑いの余地がない。4分33秒で人々がどう「鳴るか」テストしたのだ。
通常即興演奏というのは、複数人でとりあえず音を出し、そのうち共有できるテーマが見つかる。見つかるとよってたかってしゃぶり尽くす。これは見た目では盛り上がる。そしてやがて廃れ、次のテーマを探す。その繰り返しで成り立つ。これと同じことがそれらの会場で発生している。
つまり、これら聴衆の挙動は、即興演奏の構造とまったく同じであり、つまり、ケージ氏は「観客を楽器として演奏した」ということであり、この時点で、即興音楽においてやれることは彼がやり尽くしているといってもいい。彼の後には、もうペンペン草も生えていない。このレベルの違いは、ドイツのワーヴナーが、作曲したオペラ楽曲を音響的にベストに響かせるためにホールそのものを設計し建てた、のと同じだ。私らがPAとかモニタとかがどうしたらよくなるかとか、ステージ上のメンバーだけで即興をどう繰り広げるかとかウロウロしているはるか上を彼らは飛んでいるのだ。
INDIE STREAMに誘って頂き参加
とにかくすごい人出。
発起人の楢村さんに御引き合わせいただいて趣味なお話(笑)をしたり、知り合いになった方々と盛り上がりサラチを見せて感心されパワーをもらったり。
今自作ゲームの発表の場はネットを含め膨大にあるが、競い合い注目を浴びる公的な場というのはなかなかない。広大な野原に好き勝手にバラバラに咲き乱れている。高校野球>プロ>大リーグ、みたいな公的な流れがゲーム界にあればもっと発展すると私はずっと思っている。この集まりが育つことを願う。思えば、やはりまだ100年にも満たない若い文化、お笑いや週刊マンガ編集などでは当たり前の、次世代を育成しようという動きがまだ台頭できてない感じ。育てないで刈るだけではそりゃ縮小するわな。だが作る方も死屍累々。私もずっと待っているがここなら出せるというプラットフォームが本当に見当たらない。数年で消えてしまうんじゃ腰を入れて作れないがな。storeサーバの片隅においてもらっても宣伝しないと埋もれる現実。。
とはいえ、4gamersインディーズゲームの小部屋とか、ニコニコ自作フェスとか、playism.jpとかxboxのindie gamesやGAMERS ROOMとか、すごくワクワクするフレームワークが徐々に出てきているのは嬉しい。やはりゲームが好きな人がやらないといけない。BEEPの頃だって編集者が自分で攻略して画面写真撮ってたわけでしょ?ゲームが好きで頑張ってる人がちゃんと報われるフレームがあれば加速するだろう!
鳥missions。曲は決まっているが歌詞も違えば構成も終わり方も違うので毎回手探りなのだが、毎回来られている方はその差分が楽しめている(笑)らしい。今回も演奏が始まって噛みあわずガタガタな状態が続く瞬間があったが、そういうときは悪あがきせず、周囲の音をよく聞くことに専念する。されば気付くとリズムの坩堝で叩き狂っている状態に気付く。
眠れないときに眠ろうとあがいてもしょうがないのと同じで、どうしてもとれないバグが ふと休んだときに「あっ!」と気付いて解決するように、正面対決しない方向に活路があるように思う。
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このページでは私の成果、発見のみ記述しております。
※1
これこそがゲームの基本技術である
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