新たな音楽を目指す以上、通常世間で言われているような教則やらアプローチ自体を排除する必要があったり、
たまのドラマーのように新たな楽器を作ったりせず、既存のドラムセットを使うことで新しい試みを判りやすくし、また既存の概念の壊し甲斐があったりするわけですが、身体的なノウハウは先人から学ぶのがよいと思うわけで、どう自分を調教するか、つまりセルフブリードに常に気を遣います。
ホームバンド、格闘老人(けんかじじい)は、通りのよさとしてはロックになるのですが、ノリが曲ごと小節ごとに(!)違ったりしていて、実はそうとうやっかいなことが最近になって判明、ようやく解析できたのでした。
例えばファンクだったりジャズだったりボサノバだったならば基本となるリズムを習得できればその上でどうメロディーなり和音なりを展開できるか?ということに集中できるのですが、私らの音楽はその前をどう組み立てるかで四苦八苦しており、何を軸にしたらいいのかが難しかったのですがこれまでは知らずにとにかく勢いで練習ばっかりしていたのです。
自分たちの個性をキープしつつ、より高い一般性を実現するには?と悩んでいたころ行った昨年のフジロックで、ROVOというバンドの観衆が、立ったまま踊り狂っている風景をみて、なるほど、踊れさえすればトーンは格闘老人のままでいいのだ、ということに気付き、実験としてテクノ@老人というスタイルをライブでやってみてデキは良かったのですが、メンバーとしては「ノリが違う」らしい。
ならば、ベースやギターがどうであれ、打音で和音を切ることでロックだったりのジャンルを出すことができるドラム本来の役割機能から攻めてみようと思い、独立した紋切り型のドラムを叩きバンド全体のノリを一般化しようかとしたのですが、やはり「ノリが違う、絡まない」らしい。
そこでそれならば、ギターフレーズやベースフレーズ自体を軸にしてリズムを再構築すればいいのではないか!と結論が出たわけです。その範囲の中で、支障がない個所を一般に寄ったリズムにすればいい。
で、昨年からやっている練習というのが、ギターのリフをループさせ、それにドラムをねじ込む練習です。
練習は地元のサウンドスクエア。ST-224をmarshall JCM2000に直結してギターの音圧を出し、また手の届く場所に録音デッキを寄せ、演奏しては客観視するというインナー法(インナーテニスの応用)で固めていきます。
ループさせるギターフレーズが今後のノリを決定するので、ループの長さなどを叩いてみて体に合うか、無意識に叩いていてもずれない長さか、など慎重に何度も調整し繰り返しFIXしてから、ドラムフレーズのFIXに入るわけです。
リフに対するドラムパターンはすでに決まっているので、どうギターと絡んでいて、どんなノリだったのかを再確認し、各打音のベストな位置、音量、音色を模索し固めます。
これは非常に大変な作業で、格闘老人の楽曲のうちレコーディングが済んで音源がある11曲50リフそれぞれについて行わなければならず、それも、ハットの開き具合やバスの強弱、シンバルヒットの位置がわずかでも違ったりすればもう別物になるようなシビアなノリである上、音色が混じるよう気を使わなくてはならないし、さらに!このFIXが終了したあとにバンドでの再構築が待っているわけです。しかも編曲以来10年以上経っていて、もうメンバー自身飽きつつあるものもチラホラ・・・。イッツロングロングウエーてなとこ(笑)。
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