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第三章

インド人の社会には今だにカースト制度があるって。とてつもなく貴族な人と貧乏な人と。
見えるだけいいよな。ここなんか見えないカースト。しかも可変。しかも下向き。周りの皆は知ってる。しらないの本人だけ。DJだーだーなフロアでふと気づくと僕だけ異空間にゲッチュウ。


夜はもぉ汗ダーダーでケモノしそうな黒人がカノコをゲット。生バンドに併せてチーク。周りのカップルをバリバリ跳ね飛ばして高速回転。へ〜え、綿菓子ってこうやってできるんだ〜。
「どうしてさ人生にリセットボタンってないのかなと思うわけよ。ゼロだけど3機から、とかね。音楽にもさリセットとかあるといいよね。はい!パンクロックはここからやりなおし!とかね。反抗心新たに!てカンジ?きゃっなに?・・それでジャンルとかぜ〜んぶなくなってタダのパンク。犯罪とかにもリセット。スゴイよ!銀行強盗とかなかったことになるのよ。すごーい。誰も襲ったことないから誰もやろうと思わないの。そう思うとさ、もしかして絶滅しちゃった犯罪とかあるのかな!」

黒人に飽きたカノコは次の獲物を狙うかのように目をギラギラ、コヨーテ。
おーほほっほ、わたしは自由の女神、忘れていったクツは誰のものかしら。
「恋愛ってさ、シンデレラの靴なのよね。打ちのめしてくれた精神を埋め合わせてくれる人を順番に試していくわけ。わたしの心をすぱあん!ってぶったたいて
おっきなへこみをつくっておいてくれてさ、どっかでほいほい幸せなんてさ、
あんたいっくら世の中が不公平だってさ、うーん、不公平よね。」

なんだよそれ、といいかけた僕をまたもやバリヤー。ああ、必殺技が効かない!最終回か?
「才能あるニンゲンっていろんなカタチの焼きゴテを持ってて、触れる人全てに「じゅっ」ってやるの。このヤキゴテはスーパーでね、距離とか時間とか関係ないわけ。だからテレビとか自伝とか直接本人してなくてもオッケーなわけ。」
「シンデレラなの。ヤキゴテの跡を埋めなくちゃなんないわけよ。ニンゲンだからさニンゲンだからさニンゲン。ニーンゲーン。でねでね、天才系ヤキゴテってすごく変なカタチをしてるわけよ、これ。常人ではとっても埋められないスッゴイかたち。というか、埋められるんだけど天才入ってるでしょ、どんなカタチかわかんないのよ。埋めよう無いわけ。だからその人じゃなきゃだめ、ってことなの。奴隷状態ね。いまハヤリの。あ、でも愛とはちがうわよ。ほら愛ってさ、あれ、おなじかなあ。」
どっちだよ。ああっ効かん。
「だったらシンデレラかあ、うっとり。」
珍しく女の子フェロモンをかもしだすカノコ。こういう時に性別って意識しちゃうよね。色っぽいよなあ。いいなあ。ま、もう消えるケドさ。こういう時ってダイアモンドの価値が身に染みるよな。ティファニー行こうかしら。うふ。

「とにかくね。たくさんじゅーじゅーされた人って老けるのはやいの。脳の表面ぜえんぶすごいカタチでペコペコだからなのね。もお埋める労力で一生を終えるワケ。甘美な奴隷なの。あこがれね。ずびび。一方で天才はそーゆーのをさっさと埋めて余った時間で他人を「じゅっ」てやるの。天才って言われるゆえん。それにね、そういう人って「じゅっ」てやる相手にどんなカタチのコテを押し当ててやればいいか知ってるの。どれを押すと埋められにくいか。残るかって。ほとんど犬状態なんだけどさ。」

節操もない話しをしてるとカノコにヤキゴされたティーンズがうろうろ。
「小数点以下のオリジナリティなんて興味ないわ。四捨五入してもらおうなんて甘いのよね。」
ちかよるズックリ帽子をかぶったティーンズを一喝、さっさとフロアから脱出のご様子。
「やっぱ焼き肉を焼くニンゲンでしょ、ニンゲン。鉄板でうらがえーし、うらがえーし。そろそろいいかなむしゃむしゃ。翻弄する側こそ正義よね」



照明も一段落したフロアは死屍累々。DJが空気をカンジたのかテクノからアンビエントにゆるゆると変化させる。踊り疲れたヤンキは壁の端っこに座って未だ踊り狂う人をぼおっとみるのさ。僕は壁際のじぶんの領域を守るのに手一杯でダンスどころじゃない。クラブガーターと呼んで欲しい。倒したら1000万点だ。










この小説は私TPM.COによる未発表のオリジナル小説です。感想などお待ちしております。
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