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序章

妥協なんかしたくないけど、しょーがないよつまんないんだもん。意味ないんだもん。先が見えるんだもん。
君の言ってることはすべて検討済みのことばかり。でもきみは、ぼくが判ってないとおもってる。そんなぼくもきみがなにもわかってないとおもってるんだよね。





























第一章

自分の意識とは別な意識が存在する。自分はもっと自由に生きていたいのにジャマをするのだ。裏側にうごめく欲望意識が、誠実な自分に要求する。もっともらしい理屈をくっつけて、さも正しいように見せかけて説得する。気付くと欲望の中心でスポットライト。うげ。

「きゃあはずかしー、かよわい乙女に何を言わすかー」カノコがきゃあきゃあ。いつもの俺ならブッてんじゃねえ!と、ド突く衝動にかられるパターンだが放棄。かわいいから許すワケじゃねえよ。地だから。ナチュレーだもんな。計算入ってないし。

 「日和ったな」とナオヤ。「最近ダメなんスよ」とグチるナオヤをヒヨったヒヨったと激励半分でからかっていたから逆襲のつもりなのか、ことあるごとにヒヨったと言うようになった。洗脳作戦発動。ヒヨルと発音する「日和る」。ぼーっと様子をながめて、良さそうなほうに付くポリシーのかけらもないことを言うのだが、ポリシーあれば何してたってナチュラー。ぼーっしてたってナチュラー。ヒヨルのがポリシーなのさ。

 悪魔っ子タケシ。ことあるごとにトラブルを起こす。同じ人間なのに、自然に行動した結果、人に好かれるヤツと嫌われるヤツがいる。人と同じに行動して幸せになれないヤツの方が多いのは宝くじのようなものだ。性格宝くじ、オオハズレーってとこやね。

 自分と合う人間と、自分がハマる相手は異なる。自分と似たものだからこそ分かり合えるし意気投合するのだし、自分と違うものをもっているからこそ惹かれるのよね。カノコは、人生における自分自身の武器も戦う心も持っていないから日々自分以外のすぐれた存在を追い求める毎日だし、僕は他人よりも自分の中のすぐれたなにかを追い求めるのに忙しい。人間に生死があるように国家にも一生がある。すでに黎明期を過ぎた社会は勢いを失って落ちてばかりで、ポジティブな行動を受け取り発展させるだけの力がない。すぐれたものが出て社会がすぐれるのではない。すぐれた社会がすぐれたものを生かすのである。僕はかつての社会の残党だから、同じ残党をメディアで見つけて安心しないとやっていけない。カノコの方がはるかに楽そうでいいな。といっても日和ってるワケじゃあないよ。すでに脳に埋め込まれた自虐パーツは行動を変えはしないから。とか言ってるとカノコと合うとこなんかないじゃんよ、小説だあ!

 「人間には二つのパーツがあるの。ニンゲンユニットとケモノユニット。行動が自然に出るときがケモノで、利害を計るときがニンゲンなの。人がケモノとニンゲンのはざまで苦しんで吐き出すのが哲学なのよ。愛って何?とか、純愛とは何?とか理由を付ければケモノでいられるのよ、ダーリン」。カノコとはケモノの部分で一致する。自然体である素晴らしさ。これに尽きるね。
 にいにいとシゲルが語りだした。人生とは何かという、まあいわゆる太宰ユニットの一種だが自虐が入っているのでこちらとて影響大。適当に論破して洪水をせきとめる。失速した社会全体を変えていくのは難しいけど、皆が上を向いてもくもくと吐き出す無気力ガスを止めるのが僕の使命だし、連立する煙突のごとしなニンゲンの林を見るとうんざりするけれども、1コ1コふさいでいくことが大事。ひとりひとりの行動が社会を変える政府広報攻撃ぃ!!

 はっぱろくじゅーよん。しちくろくじゅーさん。いもいもごるです。すーぱーるーでぃす。

 「ニンゲンの体の成分の90%だったかは水なのよね。つまり水以外の肉とか骨とか血管とかの割合が増えるとノドが乾くってわけ。乾けば何か飲むでしょ、そしたらまた90%とかになってさ、オッケーてなもん。でもね、飲んだものに肉モドキとか混じってると水も増えるけど肉も増えちゃって87%になっちゃったりするのよ。もっとヒドイ。飲んだ意味がないわけね。だからまたノドが乾くワケ。
90%にしようとカラダは必死なのよ、必死なのに頭バカだからまたおんなじもの飲んだりするわけよ。恋愛も似たようなモノでケイケンなければ90%なんだけどやっぱり肉モドキとか混じってるワケよ。87%ぐらいならいいけど61%のままサバクしちゃったら、もーお半狂乱なワケよ。だってさ、どんなに意志が強くたってさ、6日とか13.5日とか起きてらんないでしょ。是が非でもベットにゴロンしたくなるじゃない(ホラッ哲学!)。カラダの必死の作業になーんであたしたちが責任とらなきゃいけないのかしら(また哲学!)。星がきれいねダーリン」
さて、どうしたものか。

 「わたし不幸の方がいい。」

 「世に出てる音楽とか、文学とか、アートとかのニンゲンらしい行動ってさ、ケモノユニットが90%なら出てこないはずなのよね。ニンゲン関係で消化しきれないパワーがヨコからぶーっと吹き出して、たまたま固まったのが文化でしょ。腹のワキのドノ辺にプスーッと穴をあけてやるかよね、どう吹き出てくるかよね、芸術ってそうよね。」










この小説は私TPM.COによる未発表のオリジナル小説です。感想などお待ちしております。
好評であれば本を出版します。



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