クソゲーソフトレビュー:0001 「ファリア」1989年 GAMEARTS / COLON CO.LTD / Hi-SCORE ファミコン |
ハイスコアと言えばゾンビハンターを思い浮かべる人も少なくないだろう。あの横スクロールアクションでのシビアな作りをそのまま反映しRPGにした、という作りである。当時のドラクエブームに乗って作られたソフトの一つだが、さすがにただのドラクエモドキにならないよう戦闘システムや、ストーリー、道具などに目新しい要素が見られ異色のRPGとなっている。全体としてはドラクエのような荘厳な展開やハラハラドキドキといった冒険活劇、感動のエンディング等は期待できないが、強引なストーリーに突っ込みを入れたりマッピングにいそしんだりと、通常のRPGとは別の部分での楽しみが多く存在するソフトだと言えよう。
ご老人の怪しげな予言を夢に見た勇者が、宿屋で目覚めるところからはじまる(ちなみに宿屋は戦闘で死んだときにも「夢オチ」としてお世話になる)。王様をたずねると「王女が行方不明なので探して欲しい」といわれ、芋虫の絵を見せられる。う〜ん王女は芋虫なのか〜、といろいろ探索するうちに塔に閉じ込められた王女を発見。しかしなぜか人間の姿。わけわからん。「めでたいのでお祝いをする」と王様がのたまい、城に出入りする不審な男からもらったキャビアを村人にふるまう。町全体が食中毒となり「西の村に毒消しがあるので取ってまいれ」とお命じになられる(自分で行けっ!)。挙げ句の果てには魔道士に石にされる困った王様である。 少々精神分裂気味であるが、それが突込み甲斐のあるストーリーとなっているので楽しめるのだ。
RPGといえどゲームの大半は戦闘である。このファリアの大部分を占める戦闘はタイトーのミネルバトンサーガで開拓されたシステムを採用している。すなわち「道を歩いていると突然戦闘になるがパッドで勇者を操作して動き回る敵を剣で突いたり魔法で倒したりするアクション」という方式である。この戦闘で使用できるのは当初「剣」だけだが、これがやっかい。敵と自分のアタリ判定が甘いため、かすってもいないのに弾き飛ばされてダメージを受けるため、はれものにさわるかのように敵に近づき敵の手前で剣を突かなくてはならない。気分はほとんど頭脳戦艦ガルだ。敵の中には触ると毒を受けたり、酒に酔わされて(?)勇者がむちゃくちゃに動きはじめたりするものもいるので、お金をためて弓矢や遠距離魔法を手に入れたりするのが得策であろう(気休めだが)。また、戦闘中いつでも逃げることができるが、ランダムでHPやGOLD、EXPを減らされたりするのは良い方で道具も平気で落としたりするので事実上逃げられないシステムと見ていい(特に遠くの町付近でルーラに相当する「ペガサスのはね」を落としたら目もあてられない)。 以上の根本的なシステムのやばさを除けば、敵の行動パターンなどはメリハリがあって徐々に攻略を見つけて行けるし、ボスの戦闘なども程よいバランスでアクションゲームとしてはいいデキである。(もちろんクソゲーとしてだが)
ダンジョンはドラクエT同様部分的に照らされるタイプである。店で売っている「らいと」を買わないと踏み込んだとたん真っ暗で困ることになる。また、「らいと」は「ばってりー」がないと動かなかったり、照らした明かりが向いた方向に放射状に照らされるという凝りよう。おかげで1歩動くときはその方向に向いてから動くため、ドラクエの様に暗闇の中で音を頼りに探索を続けることができないのだ。困ったもんである。通常、この手のゲームはデータ構造の便宜から縦横は8の倍数(例えば8×8とか16×16)という大きさだが、このゲームは序盤のクエストでのダンジョンでいきなり48×48!おいおい、少しは遊ぶ人の事を考えろよ〜。
全体として流れる無用のルールがおいしい。例えば、店で売ってない物は売り払えないため、いらない武器等は買ったところへ売りに行かなくてはならないとか、魔法用詰め替えパックが売ってるうえ、ドンドン買ってドンドン「使う」とその分ストックされるとか(弓矢、ライトも同様)、塔のマップが対称系を基本にデザインされていてマッピングするときれいとか、などなど。村人の会話もこまめにフォローされ、毒を食わされて皆で苦しむし、助ければ皆で感謝のコトバを返してくれるし、魔道で空が闇になれば皆で「さむいさむい」うるさい。 システムとしてはまさにクソゲーとして申し分ない作りをしているが、近年ポリゴンのいいかげんなアタリ判定のゲームになれてきたせいか昔ほど怒りを感じず、見えなかった他の部分がクローズアップして楽しめた。近年の次世代機のカスゲーやゴミゲーと違い、要所要所の作りや、ゲーム全体の作り込みはしっかりしているので部分的な欠点に目をつぶれば(クソゲーとして)十分楽しめるソフトだと言えよう。 |
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