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朝日新聞 2009年 1月 20日 セブンは「真剣な遊び」 作曲家 冬木透 、より抜粋




「ウルトラセブン」の構想は、祖師谷にあった、屋台に毛が生えたようなおでん屋で広がりました。もう40年くらい前でしょうか、つぶゴン(円谷一監督)やスタッフとアイデアをぶつけ合いながら飲み明かしたものです。
つぶゴンの主張ははっきりしていた。「ウルトラマン」の次の作品で舞台を宇宙にひろげよう、と。


彼は音楽好きで、少しバイオリンが弾けたんです。ハイフェッツの弾くシベリウスのコンチェルトの、あの北欧的な寂しい感じがいい、なんて言ってた。シューベルトの未完成交響曲にドラマをつけたこともあったっけ。
だからでしょうか、テレビのフレームを突き破り、無限の世界を音楽で表現してほしいと僕に言うんです。カメラは現実に見えるものしか撮れないから、と。子どもたちが豊かな和声感覚を持てる曲を書いてほしい、とも。そうしてできたのがあの主題歌。「はるかな星が」までがずっと同じ和声で、「ふるさと」で初めて変わる。響きの次元を変える和声のマジックを、理屈じゃなく肌で感じてもらいたくて。
あの歌詞はつぶゴン自ら書いた。でも、それがあまりに短くて。倍くらいにして、って頼んだら「適当にやってよ」と。そうはいっても他の言葉をくっつけるわけにはいかないから「セブン、セブン、セブン、セブン、セブン」ってセブンばっかり繰り返しちゃった。実は、苦肉の策だったんです。
ちょうどシンセサイザーが普及し始めた頃だったけど、オーケストラの楽器しか使わなかった。セブンが、あまりにも人間的なウルトラマンなもんだから。地球人のかわりに悩んでくれてるんだから、人間味がないとね。