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安野モヨコ日記 2004年6月14日  より抜粋






2004年6月14日(Mon)

ネット2
前回の日記に反響が大きかったので、みんないろいろ思うところはおなじなのだな、と思いました。 
 
ネットや掲示板での狂暴性は一体何なんでしょうね。 
よく言われてるような匿名性だけなのかなー。 
 
以前ホームぺ−ジで掲示板を持っていた時も、よくそういうことがあった。 
それで、いやがらせとか中傷してくるひともそうだけど、あたしがそれに反応してしまった時に 
「あなたはプロなんだから、人の批評や反論にさらされるのは当たり前。もっとプロ意識を持つべき。」というようなメールが来て、むしろそのほうが考えさせられました。 
何かのプロであるならば他人に対してそんなことは言えないと思うからです。 
そのメールを下さったかたが何モノであるかは知るすべもないのですが。 
 
その時から今に通じて思っている事は、発言するのは自由だけれどそれを相手に伝えるには訓練が必要であると言う事です。 
 
漫画家に限ったことじゃないのですが、メディアを通じて人になにかを発信している人は皆、見えないところでリスクを背負っています。 
公共の場で発信できるようになるまでには、訓練され、淘汰されて来ているわけです。 
自分のページをもらえるまでには他の新人作家と競合し、読者の応援がなければ消えて行く。
  受けるためにはどうしたらいいかを真剣に毎日考え、だからといってそればっかりでも作品としてのクオリティが問われたり自分も苦しいのでまた悩む。評論家からたたかれる事もあるし、誌面で罵倒されることもある。 
そんな中から生き残って来た人たちがページを手に入れて仕事をしているわけです。 
それでもなおかつ面白く無ければ容赦なく消えて行く。 
 
インターネットの掲示板やサイトでの個人的な日記というのは、まったくそれが無いまま、自分の部屋で思った事をそのまま公開できてしまう。 
大変危険な事だと思っています。大人ぶった言い方では。 
子供としての私としては大変不愉快。 
 
この日記であっても、本当に思っている事だけを書いているわけでは無いのです。 
楽しみに読んで下さっている方々がいること、を前提に漫画以外の部分で思っている事を書かせてもらっています。 
文章に置いての訓練と淘汰を受けてはいないのですが、ここに来て下さっている方が限定されている事も考慮した上で書いています。 
 
いちいち書く事じゃ無いのかもしれません。 
でも、それくらい注意深くしても不快である、といってくる人はいます。 
そのことに責任をもちつつ発信してる人と、そうじゃない人が同じ土俵に乗ってしまうのがインターネットの不幸だと最近つくづく思うのであります。 
 
なんか長くなってしまいました。気軽に遊びに来て下さっている皆さん、重い事言ってすいませんでした!!